学校 DE デジカメ
第4回 「いろんな視線で撮ってみよう!」&「デジカメの特殊撮影」
カメラマン&ライター/西尾琢郎
最終回となる今回は、デジカメを通じて鳥や魚の目を体験することもできる「いろんな視線で撮ってみよう」と題してお送りします。また、以前はプロだけの世界だった特殊撮影が、デジカメでいかに身近になったかをお伝えしましょう。
デジカメで
「視線」を手に持つ
デジタルカメラを手にすることには、いったいどんな意味があるのでしょう。写真を撮ろうとカメラのファインダーや液晶画面をのぞきこむとき、その視線は撮影者の視線と一つになっています。ただ、自分自身の視線と大きく異なるのは、それを被写体へと向けるのは「手」だということです。
人間がもっとも意識的に操ることのできる身体の部分が手です。普段、頭や眼球の動きで「何気なく」行っている視線の移動が、手に委ねられることの意味は決して小さくありません。
「自分が何を、どう見るか」カメラを手に持つことで、子どもたちはそれを自然と意識するようになります。このことは子どもたちに客観的なものの見方を身に付けさせる上で、とても有効なのです。
鳥の目、アリの目、魚の目
カメラは「手に持った視線」だと言いました。さらにデジカメでは、従来のフィルムカメラと違って、背面の液晶画面をファインダーとして使えることから、その構え方、すなわち視線の自由度が大きく高まっています。
例えば、カメラを頭上に掲げたり、または地面スレスレの位置に構えて撮影しても液晶画面で構図の確認ができますし、仮に液晶画面が見えないような姿勢で撮影したとしても、すぐにその撮影結果を確認できますから、気後れせずにいろいろなスタイルの撮影にチャレンジできるというわけです。
とは言え、子どもたちにデジカメを渡しても、そのままでは、まっすぐ立って目の前にカメラを構える「自分視線」の撮影から抜け出せないことが多いでしょう。そこで試していただきたいのが「鳥の目、アリの目、魚の目」です。要は、自分以外の何かになりきって写真を撮ってみよう、という呼びかけです。空を飛ぶ鳥からは、どんな風に見えるだろう。アリから見たら? 魚から見たら? ……学習場面や被写体に応じて、こんな呼びかけをしてみると、子どもたちの取り組みが目に見えて違ってきます。中には意外に思えるユニークな視線の写真を撮ってきて「これ何の目か分かる?」などと逆に問いかけてくる子どももいるかもしれません。
被写体を限定した上で、いろいろな目でこれを撮影してみる学習も楽しいものです。同じ友だちを写した写真でも、鳥の目からは眼下にかわいらしく見えたり、アリの目からは恐ろしげな巨人に見えたりと、その違いに子どもたちは驚き、さらにいろいろな「目」の工夫を自発的に始めていくことでしょう。