学校 DE デジカメ
第2回 構図と「フラッシュ撮影」のポイント
カメラマン&ライター/西尾琢郎
デジカメ撮影のツボ
【フラッシュ撮影】
フラッシュの効果について分かりやすく見るために、夜の屋外でクルマを撮影してみました。
▲5m以上の距離では、ご覧の通り手前までしか光が届かず、真っ暗な写真になってしまいます。
▲クルマがほとんど目の前になる3mほどの距離でも、手前の人物がようやく写る程度です。
▲フラッシュを発光禁止にして、街灯を利用して撮ってみた写真では、肉眼で見た印象に近く写すことができました。
最近のデジカメには「夜景モード」などと呼ばれる撮影機能もありますが、中にはそれでもフラッシュに頼った撮影をしようとするものがあるため、完全に失敗から解放されるわけではないのです。
暗いところでも写真が撮れる、強い味方がフラッシュです。ところが、その使い方を知らないばかりに失敗写真を大量生産する原因になっていることが多いのです。ご存じでしたか?
フラッシュがしっかりと写真の役に立てるのは、実は数メートル以内の距離まで。一眼レフ用の大型ストロボなどを除いて、カメラに最初から内蔵されているようなものの場合、弱いもので3m内外、カタログなどで「強力」とうたっているものでも5m届けばいい方なのです。
この冬、日本中が盛り上がったオリンピックでも、これから燃え上がるサッカーワールドカップでも、会場のスタンドで多くのストロボがまたたいているのが見えますが、あれはまったくの無意味。それどころか「ストロボによって明るくなるはず」と思い込んだカメラが、シャッタースピードを自動的に上げて(速くして)しまったりすることもあるので、真っ暗けの写真がそれこそ星の数ほど生まれてしまうわけなのです。
というわけで、「歩いて数歩」以上に遠いものを写すときにはフラッシュは使わないのが鉄則。そんなときにはイナズマのマークがついたボタンを押すと、自動発光、強制発光、赤目防止などいくつかのフラッシュモードに順次切り替わりますので、その中でイナズマに駐車禁止の標識が組み合わさったような形のマーク「発光禁止」モードに切り替えて撮影しましょう。フラッシュの代わりに懐中電灯や街灯をうまく利用したり、三脚を使って手ブレ写真にならないように気をつけるのもテクニックです。
▼活用のヒント
「思っているより弱い」と書いたばかりのフラッシュですが、逆にその「強さ」が気になるシーンもあります。すぐ近くの人や物を写したとき、フラッシュを使うととても強い影ができてしまったり、被写体が強く光ってしまったりして、写真がとても不自然になってしまうのです。
こうした場合も、あえてフラッシュを発光禁止にして、物を撮るなら電気スタンドなどを活用したり、人を撮るなら、やはり上手に日光やその他の明かりを利用することを考えてみましょう。
もう一つ、こうした場合にフラッシュを使う方法として、フラッシュの発光部に上質紙などを小さな筒状にして貼り付けてみる方法があります。これによって光が拡散されるので、被写体に当たる光や、それによってできる影が小さく柔らかくなる効果が期待できるのです。光の直進性など、理科の学習と組み合わせてみるのも面白いかもしれませんね。