中学・高校の実践事例

体験と知識の両輪で学ぶ情報モラル
〜仕組みを知り、「なぜ」が分かるモラル理解へ〜
茨城大学教育学部附属中学校

道具を生かす、効果的な授業

授業の締めくくりとしてワークシートに学習の成果を記入。

授業の締めくくりとしてワークシートに学習の成果を記入。キー入力の練習を兼ねてパソコン上で行っていくとのことだ。


「教科や領域を超えた連携が、ぜひとも必要です」と語る萩谷先生。

「教科や領域を超えた連携が、ぜひとも必要です」と語る萩谷先生。穏やかなその語り口の中にも、授業改善への強い意志が伝わってきた。

同校では現在、文部科学省の研究開発指定校として「社会力の育成」をテーマにカリキュラムの開発を研究している。2・3年生は講座選択学習の中に「情報」を開設し、ネット社会のさまざまな問題について共同学習を行っている一方で、1年生はカリキュラムの都合により年度半ばを過ぎてから技術・家庭科の「情報とコンピュータ」学習がスタートした。他教科でコンピュータを利用する機会もあり「学習の時期として適切ではなかったかもしれません」と萩谷先生。

単なる指導の適時性の話だけでなく、道徳や総合的な学習の時間をはじめ、他教科との連携も重要な課題だと萩谷先生は指摘する。授業内容を互いに把握しあい、補いあうことで、慢性的に不足がちな授業時間の中でも、効率的な指導ができるはずだという。

「とにかく、どの教科の先生もお忙しいんです。ですが、今やどの教科とも接点を持っている情報についての指導に、もっと多くの先生の協力がいただければと思っています。その意味でも『つたわるねっと』に用意されている疑似体験コンテンツや解説スライドはとても有効だと思います。教材準備の時間が大幅に節約できるので、今まであきらめていた指導が実践できるようになるからです」

良質のコンテンツが豊富に用意され、さらにそれを実際に体験できるソフト・ネットの環境が一式で提供される『つたわるねっと』。その力を引き出し、生徒たちの力へと変えていく授業づくりは、ひとえに先生方にかかっている。そう実感できたこの日の取材だった。



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茨城大学教育学部附属中学校

明治10年に開校した男子師範学校と、同38年に開校した女子師範学校の附属学校を前身とする、130年の歴史ある学校。昭和33年に現在の地に統合再編されてから、今年でちょうど50年を迎えた。地域の中核を担う伝統校。生徒数476名、山根爽一(やまね・そういち)校長。


取材・撮影:西尾琢郎
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。