小学校の実践事例
キライにさせない英語活動
〜3年生からの英語が秘める可能性〜
富山県・富山市立星井町五番町小学校
新しい学習指導要領では、小学校高学年で
年間35時間が位置づけられることになった、外国語活動。
富山市では、4年前から英語活動に注力。
中でも星井町五番町小は、研究指定校として
3年生からの英語活動に取り組んでいる。
その意味、意義とは。そして成果は。
焦らず、ゆっくり
ウオーミングアップの様子。声を出し、体を動かしてリラックス。英語に対するためらいを払拭する。
「Let's start OK?」「OK!!」
取材にお邪魔したのは、3年生の単学級。授業は担任の深井先生がT1、英語活動支援講師である佐伯先生がT2として進められる。授業は元気なあいさつでスタートだ。
「How are you?」
「I'm great!」
深井先生の問いに、両手を高らかに挙げて返事をする子どもたち。「and you?」と問われた深井先生と佐伯先生も、全身を使って「fine」「great!」と答える。先生も子どもたちも、一つひとつの単語をゆっくり、ハッキリと丁寧に発音していく。決して急がない。
「Let's sing a song! Stand up please」
即座に立ち上がる子どもたち。歌い慣れているという「Seven Steps」でウオーミングアップだ。
「1234567♪ 1234567♪」
リズムに乗って足を踏みならし、「7」で右手を高く挙げる。
「もう少し大きな声で歌えると思うよ!さあもう一度!」
体を動かすことに夢中になってしまっている子どもたちに、日本語で注意を促す深井先生。星井町五番町小では、すべて英語で授業することにこだわらず、英語への拒否反応が出にくいよう、日本語も交えての英語指導を行っている。
書かない授業
今日のめあてと、9種の文具を印刷したもの。プリンターでのカラー出力を積極的に活用し、子どもたちの興味を引きつけている。
子どもたちの歌声は徐々にボリュームを増し、アクションも大きくなっていく。
「歌を歌い、体を動かすことで、子どもたちの英語に対する緊張感は薄れていきます。それと同時に、発音に対しての準備ができるんですね」と深井先生。
十分に体が温まったところで着席。前時までの復習を行う。さまざまな文房具のイラストをプロジェクターで映しなが ら、深井先生が「What's this?」と問いかけると、子どもたちは「textbook」「notebook」「chalk」「eraser」「pencil」「ruler」「scissors」「pencil case」と次々に答えていく。
イラストには単語も書かれているが、子どもたちが授業中にライティングすることはない。あくまでも中心はスピーキングとヒアリングだ。
三角定規が描かれたイラストが映され、「triangle」と答える子どもたち。その中に、「triangles」と複数形で答える声が交じっている。深井先生はそれを聞き逃さない。
「あ、確かにそうだよね。OK! Very good!!」
実は、イラストの三角定規は2枚描か書かれていたのだ。表示されていた単語は単数形だが、複数形こそが本当の意味での正解と言える。そこに気付いた子どもの洞察力を、存分に褒める深井先生。
続いてはそれぞれの単語の複数形を復習。[s][z][iz]の違いに注意しながら、子どもたちは深井先生、佐伯先生の発音する口元を注視し、その音と形をまねる。
3年1組担任。「私が授業でやってみたいと思うことを、佐伯先生は深いところまでくみ取ってくださるので、授業中のみならず、授業づくりにおいても最大限に支援していただいています」
英語活動支援講師。「星井町五番町小では、担任の先生方が率先して『こんな授業をやりたい』と案を投げてくださるので、本当の意味での英語活動支援が可能となっています」