小学校の実践事例
地元の魅力を徹底追求!伝えたい思いが花を咲かせ、実を結ぶ
〜「ふるさと教育」×「はっぴょう名人」で情報発信〜
島根県・益田市立吉田小学校
より深く
地域とかかわる
益田の城あと神社の魅力
蟠竜湖
医光寺
益田の海が大好き団
体に良い益田の柿
『スマイルペイント』で描かれた鮮やかなイラストや、クイズ形式のシート、シンプルでいて分かりやすい言葉選びなど、6年生ならではの工夫がちりばめられている。
6年生が取り組むのは、益田の魅力を調べ、それを伝える学習だ。文化財・観光スポット・食・高津川・益田にゆかりのある人物・自然など、4年生よりも狭く地域を限定し、より深く掘り下げて調べ、まとめる。そうすることで、改めて「ふるさと」を知り、地域の文化や伝統を大切にするとともに、よりよい地域をつくりだそうとする心を育てることがねらいだ。また、子どもたちが地域を支えるいろいろな人と出会い、かかわることを通じて視野を広げ、コミュニケーション能力を高めることも重要なテーマとなる。
まとめたものは、4年生同様に吉田小のホームページで発信する。今日の授業は『はっぴょう名人』でのまとめ作業だ。
吉田小では、教頭の原先生が地域との橋渡しを買って出ている。さまざまなコーディネート役として、また、パソコン室の調整役なども担っている。
「年々、パソコンを活用した授業も増え、特に調べ学習やまとめの作業は重なることも多く、パソコン室の稼働率も高まり、空きを待つような状況も多々発生してしまいます」と原先生。
1クラス全員が1台ずつ使用できる環境が理想だが、と原先生。パソコン室ではグループでの作業が多くなるが、子どもたちは不自由さを感じるよりもむしろ、共同作業の楽しさや、みんなで一緒にやり遂げることの達成感を強く感じているようだ。
この日はまとめ作業で終了。子どもたちの集中力を見せつけられた1時間となった。
地域と学校とをつなぐ要となっている教頭の原先生(左)と、子どもたちと一緒に校長室の掃除をするなど、自ら手本となる校長の村上先生(右)。
そのプロセスが
本当のふるさと教育
2006年末現在、吉田小のホームページには 「島根を『ぶち』有名にする!ぷろじぇくと」ページが完成し、企画書やPRキャラなどが次々とアップされている。これは吉田小ブログとリンクされており、特にPRキャラはブログの記事としてアップされ、更新されている。ブログの「カテゴリー」機能を有効に活用している点も見逃せない。
「ブログなら、ちょっとパソコンが苦手な先生でも気軽に記事をアップできますし、マメに更新できます。それに、ブログは保護者の方々も頻繁に見てくれているようで、記事を書く方としても励みになるんですね」と長島先生。下校時刻や緊急情報などもブログにアップしているので、学校にかかってくる問い合わせの電話が減るという思わぬ副産物も。
「本校のホームページは、今年度の4月開設なんです。それでも、あれだけコンテンツが充実している。先生方の努力のたまものです」と校長の村上先生。
「アクセス数も、最初は2週間で1,000件だったのが、最近は1週間で1,000件になりました。保護者の方々にもかなり浸透しているようで、地域の関心も高くなっています。ホームページで情報を公開することにはリスクも伴いますが、地域の目が学校に向くことが大事であると考えています」
最後に、村上校長先生に「ふるさと教育」について伺った。
「もちろん、ふるさとについて知り、学ぶことも大切ですが、子どもたちがこの地で、大切な仲間たちと、素晴らしい思い出を作り上げる、そのプロセスそのものが、本当の意味での『ふるさと教育』なのではないかと私は考えています。結果も大事ですが、その過程も大事にしたいですね」
2007年2月にはグラントワ(島根県芸術文化センター)でふるさと教育フェスティバルが開催され、4年生が代表としてプレゼンテーションを行うという。そうした経験の一つひとつが、子どもたちにとっての「ふるさと教育」なのだ。
島根県西部、日本海に面する益田市。吉田小はその益田市の中心部に、高津川と益田川に挟まれるように位置している。ホームページの充実は素晴らしく、今年5 月には「吉田小ブログ」も開設。ほぼ毎日更新されており、J-KIDS大賞2006では県優秀校に選ばれている。児童数559名。村上伸悟(むらかみ・しんご)校長。