小学校の実践事例

地元の魅力を徹底追求!伝えたい思いが花を咲かせ、実を結ぶ
〜「ふるさと教育」×「はっぴょう名人」で情報発信〜
島根県・益田市立吉田小学校

客観的に見直すための
プリントアウト

プリントアウトをする子どもたち

印刷指示を出すとすぐに1枚目が見えてくる感覚。子どもたちの作業も止まらない。瞬く間に印刷された用紙で教壇が埋まった。

プレゼンシートもかなり盛りだくさんになってきたところで、長島先生は子どもたちにシートを印刷するよう促す。
「紙に印刷して、少し離れたところから見てみよう。画面で見ているだけでは分からないことが見えてくるかもしれないよ」

シートの内容がひとりよがりになっていないか、自分たちの伝えたいことがきちんと伝わるものになっているか、一度発信者から受信者の立場に身を置いて確認するためのプリントアウトだ。

作業のキリのいいところで、次々と印刷を実行する子どもたち。プリンターは1台だが、大量のシートも難なく印刷完了。子どもたちの手が止まることもない。

「授業内でも気軽に印刷できる環境はありがたいですね」と長島先生。

印刷したプレゼンシートを見ながら、前後のページを並べて流れを確認したり、遠くても見やすいかなど確かめる子どもたち。モニターで見ているときには気 付かなかった誤字・脱字や、「てにをは」の間違いに気付く子どももいる。

自分でもほしくなるものを
つくろう!

どんどん煮詰められていく子供たちが考えた島根をPRするためのキャラクター

どんどん煮詰められていくキャラクター。


シートの修正をしながら、子どもたちはさらに島根をPRするためのキャラクターづくりに取り組む。自分たちの伝えたい「ひと・もの・こと」をふんだんに盛 り込んだマスコットキャラクターが、紙の上で、そしてモニター上で形になっていく。ブドウ、ハチミツ、シジミ、神楽、温泉など、自由な発想が楽しい。

創造されたキャラクターは、成果物として実際に子どもたちがPRグッズを作る際に使用される。ポスター、Tシャツ、しおり、カレンダー、シール、マグネットなど、グッズの種類も本格的だ。

島根の魅力を伝えたいという思い。どうすればその思いが伝わるのか、グループ内でさまざまな意見が交わされる。

「 もっとかわいくないとダメだよ」
「 自分たちでもほしいと思えるようなグッズにしよう」

キャラクターのイラストもどんどん手直しされ、グッズの試作案も出始めたところで、この時間は終了となった。

よい取り組みは
みんなでまねる

6年1組の子どもたち

6年1組の子どもたち。益田の魅力を伝えるべく、積極的に取材などに出掛けている。

 続いては6年1組の授業。担任の野村先生が、パソコン室に集まった子どもたちに「紹介したい作品があります」と告げる。全台のモニターに映し出される竜のイラスト。
『スマイルペイント』を使ってクラスの1人が描いたものだ。

「手書きのイラストをスキャナで取り込むと、線が弱いとか、色が薄いとかいうことがあるかと思いますが、こうしてお絵描きソフトを使って描けば、鮮やかな絵が描けます。マウスで描くのは難しいかもしれないけれど、絵を描くのが苦手な人や、スキャンしたものに満足できない人は、パソコンで描くことも試してみましょう」

1人の気づきをみんなで共有する。良いことはどんどんまねをする。「みんなでより良いものを作っていきましょう」と野村先生。「お絵描き大会」になってしまうリスクもありそうだが……。

調べたノートをもとにして、プレゼンシートを作る。情報の取捨選択が行われ、メリハリのあるシートが作られていく。

調べたノートをもとにして、プレゼンシートを作る。情報の取捨選択が行われ、メリハリのあるシートが作られていく。

「本来の目的さえ見失わなければ、絵を描くことに夢中になることがあってもいいと思うんです。子どもにとっては新たな表現の手段です。それを与えることを恐れていては、子どもは伸びません」