小学校の実践事例

アンケートを通して作る「クラス白書」で 自分たちの生活を見直そう 
「つたわるねっと@フレンド」のアンケート機能を生かして〜
東京都・目黒区立下目黒小学校

「つたわるねっと@フレンド」を活用したアンケート

そして取り組みはアンケート作りへと進む。大木先生は、ここで「ジャストスマイル2@フレンド」に含まれる グループウェア「つたわるねっと@フレンド」とそのアンケート機能を使うことにした。

授業の冒頭、子どもたちに一番多いと思う回答を予想してもらう

アンケート作成機能を使うのは初めてという子どもたちだったが、ここまでの取り組みで、設問や選択肢といった要素がしっかりと整えられていたこともあり、 作業は大きな迷いもなく進んでいった。ここまでが前回までの授業の様子である。

取材当日は、こうして作られたアンケートにクラスの全員が互いに回答していく段階にあたる。

授業の冒頭、大木先生は子どもたちをパソコンの前から、教室中央に並んだ共同作業用のテーブルのまわりへと呼び集めた。

「今日は、前回作ったアンケートにみんなで答えていくことにしましょう。でもその前に、手元のファイルを開いてください」

子どもたちは、これまでの授業で使ったワークシートのファイルを開いて、先生の言葉を待つ。  

「ファイルには、みんながアンケートに入れた質問とその選択肢が書かれていますよね。その選択肢の中で、1番たくさん選ばれるんじゃないかな、と思うものに赤エンピツで印を付けておいてください。 結果が出たときに、その予想が合っていたかどうか確かめてみましょう」 

あらかじめ回答を予想しておくことで、まとめの段階の考察をより深めることができるわけだ。  

自分の作ったアンケートの設問について一通りの回答予想を終えると、いよいよ子どもたちはパソコンに向かって、クラスメイトが作った アンケートへの回答を始めた。

 

<「つたわるねっと@フレンド」アンケート機能画面

「つたわるねっと@フレンド」のアンケート機能では、アンケートを作った子どもと先生から、 そのアンケートに答えた子どものリストを見ることができる。取り組みの進行度合いを把握するのにも便利な機能だ。

大木先生はさらに子どもたちに声をかける。

「アンケートを作るとき、1番初めのところに“どうしてこのことを聞きたいのか”を書きましたよね。 今、他の人のアンケートに答えるとき、それをしっかり読んでいますか? それを読み飛ばして、いきなり質問の回答に取りかかっていないかな?  アンケートを作った人の気持ちをちゃんと受け止めてから回答するようにしてくださいね」

思わず頭をかいたり、隣の席の子と顔を見合わせる子どもたち。先生の指摘は図星だったようだ。

聞き手の意図を理解して答えること。それは自分の意思に反した回答をするということではない。選択肢があるとはいえ、出題者が知りたいのは 自分の何なのか、を読み取ることで、より的確な回答をすることができるようになる。すべての子どもが出題者であり、同時に回答者でもあるからこそ、 出題意図の大切さが実感できるのだろう。  

「アンケートに答えた人を見る」という「つたわるねっと@フレンド」の機能を使って回答者を確認しながら「私のアンケートにまだ答えてくれていない人、 ご協力をお願いしまーす」と呼びかける子ども。自分のアンケートに対する回答の途中経過を見守る子ども。設問を前に「うーん」と考え込む子ども。それぞれが出題者、 回答者の立場を行き来しながらアンケートは進められていった。

やがて授業終了の時間。大半の子どもたちがアンケートの回答を終え、次回はその回答のまとめが行われていくはずだ。 

広がるグループウェアの可能性

実践の流れ

アンケート作りは初めてのはずだった4年2組の子どもたち。しかし、授業で目にした子どもたちのようすは、 とてもそうは思えない手際の良さを感じさせるものだった。

それもそのはず、実は下目黒小では、毎日の出欠確認から、お楽しみ給食の献立リクエスト、コンピュータを使った授業の ポートフォリオ作りまでの多くの場面で、学校用グループウェアである 「つたわるねっと@フレンド」が活用されていたのだ。

「出欠確認には、各教室のパソコンから、子どもたちが出欠状況を入力して報告してくれます。出席簿の受け渡しの必要がなくなった上に、例えば保健室からも各学級 の出欠状況や欠席理由などが確認できるのはとても便利ですね」と研究主任の寺尾先生。

「今日の授業で使ったアンケート機能は、ふだんの授業評価でも利用しています。今までは紙で行っていたことですが、『つたわるねっと@フレンド』なら集計も自動 的にできますし、結果をグラフ化して全体の傾向として見ることができるのが便利ですね。その後の授業でフォローを実施するのにも役立ちます」と大木先生。

子どもたちはアンケート作りこそ初めてだったものの、回答には慣れていたわけだ。

この他、校内の各種施設予約を「つたわるねっと@フレンド」のスケジュール機能で行ったり、校内防災地図が地図スタジオで作成されるなど、その活用は多岐に渡っていた。

「ジャストスマイル@フレンド」と、そのグループウェア機能である「つたわるねっと@フレンド」は、下目黒小の授業はもちろん、学校全体の情報化・活性化にも一役買っているようだ。今後も、こうした学校でのグループウェア活用がますます広まっていくことだろう。

◆目黒区立下目黒小学校

JR目黒駅から西へ徒歩10分ほど。春の桜並木で知られる目黒川のほとりにあるのが下目黒小学校だ。創立は明治11年と、区内でも3番目の長い歴史を誇る。鹿海治校長。児童数251名。

取材/西尾琢郎 撮影/齊藤浩
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。