小学校の実践事例

プレゼンソフトと大判プリンタを利用し 短時間で質の高い作品づくりを実現 
『はっぴょう名人』で卒業生へのメッセージを作成する総合的な学習の時間〜
徳島県・池田町立池田小学校

池田小学校

卒業式を5日後に控えたこの日、 池田小学校の5年生全2クラスは総合的な学習の時間を使って 卒業生へのメッセージを作成するために、パソコン室に集まった。
プレゼンテーションソフトを利用して、 イラストや写真入りのメッセージを作成し、大判プリンタで出力。 卒業式当日は、完成した作品を手に持って、 卒業生を送り出す予定だ。

ソフト操作の習得はわずか2時間 機能を使いこなし自由にレイアウト

前の授業を終えて三々五々、パソコン室に集まってきた5年生たちは、先生からの指示を受けることなく、各自、自主的に作業の続きを始める。

この日までに準備に費やした時間はわずか2時間。1時間目は初めての経験となるプレゼンテーションソフト『はっぴょう名人』の基本的な操作方法を学び、2時間目は1人1人ラフ案を作った。

そして3時間目となる今回は、全体が15の班に分かれ、各班5〜6人で相談しながらレイアウトを決めるのが目標だ。

みんなで相談しながらレイアウトを決定

ソフトを使い出してから間もないとは信じられないほど、さまざまな機能を自由自在に使いこなす子どもたち。テンプレートからイラストを選び出し、校内LANに蓄積されている写真データも活用。台紙に貼り付けながら、大まかなレイアウトを考えていく。また、背景や飾り罫も、さまざまなパターンを試して、全体のバランスについて意見を出し合う。
「この桜のイラストを入れたらどうかな?」
「いらん、いらん。ごちゃごちゃになるて」

別の班ではインターネットを活用中だ。
検索サイトで「卒業カード」といったキーワードを入力。参考になる情報を探し出す。楽しく、かつ真剣に議論しながら、デザインを決めて、最後にメッセージを入力。
『卒業おめでとうございます。中学校に行っても勉強にスポーツにがんばってください』
『今までお世話になりました! 卒業しても私たちのこと、池田小学校のことを忘れないでください』
など、思い思いのメッセージが書き込まれていく。

「ここはこんな感じでいいかなあ?」

ある程度レイアウトが固まってきたところで、初めてICTコーディネータの中川斉史先生から具体的な指示が出た。
「自分の班と同じイラストを使っている班がないか“偵察”してください。同じものがあったら、どっちかが変えなあかんよ。それぞれで交渉してください」

子どもたちは教室を回って、使用したイラストが他の班と重複してないか、先生が配ったチェック用紙を使ってチェック。デザインの一部を変更するなど、もう一度、見直し作業に入る。
ここでいったん作業を中断。給食をはさんで、次はいよいよ仕上げの時間だ。

大判プリンタでA1サイズに出力 子どもたちに大きな充実感と達成感を

画面上で作品が完成したと判断した班は、ひとまずA4サイズでプリントアウトする。
ここであらためてレイアウトを全体的な視点から検討。海をテーマにヨットやボート、カモメなどのイラストでまとめた班は、
「紙で見ると、なんかイメージが違うなぁ。まわりがさびしい感じがする」
「魚の飾り罫をつけるといいんやない?」
「ほんとや。カッコよくなった!」

「すご〜い!大きいよ!」

細かい部分を修正して、A4サイズで再びプリントアウト。それをスキャナで取り込み、エプソンの大判プリンタ『PX-7000』でA1サイズに印刷する。
印刷が始まるとプリンタのまわりに班全員が集まって、印刷工程をじっと見つめている。プリントが終了し、完成品を手に取った子どもたちは 「うわー、でっかい」 「すごい、きれいやなぁ」 と、その仕上がりに満足気。
プリンタの性能はもちろん、データを直接プリンタに送るのではなく、いったんスキャナで取り込んででデータ量を一定に保つ工夫によって、A1サイズ1枚を印刷する時間をわずか3.5分に抑えた。

指導にあたった、5年桜組を担任する田岡千恵子先生は、
「子どもたちが楽しく作品づくりに取り組めたことがよかった。作品の質の高さも想像以上でした」
と評価する。
また、同じく梅組担任の藤原隆司先生は、
「自分たちの手で美しい作品を仕上げたことに、子どもたちは大きな充実感と達成感を得たようです。しかも短時間で、これだけの作品を完成できたことに驚きました」
と微笑む。

中川斉史先生

中川先生は今回の授業について、こう解説する。

「操作については基本だけを教え、後は自分で探らせるようにしました。そちらの方が早く身に付くんです。また、実際に絵を描くとなると、どうしても作品の質に差が出ます。しかし、『はっぴょう名人』は豊富なテンプレートなど、子どもたちの発想をふくらませてくれる仕掛けがツールに組み込まれているので、短時間で一定レベルの作品を完成させることができ、子どもたちの満足度も高い。この“いかに時間をかけずに、質を高く完成させるか”は、担任にとっても非常に重要なポイントです」