小学校の実践事例

デジタルとアナログを上手に使い分けて学習の成果を楽しく発表
〜子どもたちの表現力アップと、地域交流を目的としたイベント「扇台発信」〜
石川県金沢市立扇台小学校

日本海に面した金沢は、豊かな自然に囲まれ、多くの伝統工芸が今も残る地。扇台小学校の周辺も落ち着いた静かな街並みが続いている。校庭の木々が色づき始めた秋の日に開催された「扇台発信」は毎年恒例のイベント。当日はたくさんの人が学校に足を運ぶとあって、子どもたちはいつにも増して張り切っていた。

年に一度の「扇台発信」 子どもたちの自主性を大切に

ステージで発表

週に2時間設けられている『総合的学習』のまとめとなるイベント「扇台発信」。学年ごとに設けられたテーマに沿って、子どもたちが自主的に学習してきたことを、年に一度のこのイベントで発表する。

各教室や体育館では子どもたちがそれぞれに工夫をこらした展示や発表が行われ、生徒の保護者だけでなく地域の人たちも多く学校を訪れる楽しい行事だ。

各会場に足を運ぶと、子どもたちの表現方法が実に多様なことに驚かされる。作品作りは先生たちも一緒になって進めるが、できるだけ子どもたちの自主性を尊重し、どのような表現方法を選ぶかも自由だという。

印象的なのは、アナログとデジタルを組み合わせた表現を多用していること。特に、上の学年になるほど、模造紙を使って発表のテーマを打ち出し、パソコンやプロジェクターを使って具体的な映像を見せるという使い分けができている。

学んだ知識や体験したことを、どうやったら上手に伝えることができるのか。

それを考えるのが「扇台発信」だ。

教室に額谷山の風景を再現 身近な自然を楽しもう

3年生のテーマは“ぬか谷山へGO!”。学校の近くにある額谷山へ四季ごとに遠足に出かけ、そこで見て、触れて、感じたことを発表する。

1組から3組まである3年生の教室は机や椅子を並べた通路でつながれ、訪れた人は1本の山道をたどりながら展示や発表を楽しむという演出だ。山道はススキや落ち葉でディスプレイされ、ダンボールのトンネルをくぐったり、ビニールテープの川を横切ったりと、ちょっとした冒険気分が楽しい。

かもしか調べ

山道の脇には、実際に額谷山で見ることができる植物や生き物を模造紙で紹介。ペンでイラストを描いたり、デジタルカメラで図鑑を撮影してカラープリントしたり、いずれも力作揃いだ。

別の教室には大きくプリントされたカモシカのポスターを貼った“かもしか調べ”のコーナーが設けられている。目玉は、保護者と一緒に行った秋の遠足で出会った野生のカモシカの映像だ。

「カモシカのビデオをご覧ください」という案内の後、スクリーンに映像が映し出される。同行した保護者がビデオカメラで撮った映像をパソコンで再生、エプソンのプロジェクター『ELP-600』で投影したものだ。森の中にたたずむカモシカは、こちらに気付いてしばらくカメラの方を見ていたが、やがて森の奥へ走り去って行った。みんなで行った遠足の楽しさが伝わってくるとともに、この地域の自然の豊かさを実感することができる映像だ。コンパクトで持ち運びも簡単な『ELP-600』は、今回のイベントで大活躍!

さらに、山道のゴールとなる教室には、手作りのおやつを試食できるお楽しみコーナーを設置。エプロンに三角巾姿の女の子たちが、焼きどんぐりや芋モチをふるまい、あたりはいい匂いが漂っていた。