キャリア教育ヒントボックス
空を見上げて 風を感じて
気象予報士 森田 美砂子(もりた・みさこ)さん
埋もれている才能を
埋もれたままにしない
気象関係のマスコットや本が並ぶ以外、普通のオフィスと何ら変わりがない。スタッフ8名のうち、3名が気象予報士。情報の受け手に近い感覚を大切にしたいので、気象予報士だけの集団にはしない方針だとか。
現在、森田さんは、気象コンテンツの企画・運営と、気象予報組織「ウェザーリポートネットワーク(WRN)」の運営・広報を主な業務としている。
気象コンテンツは携帯向けのもの、Webで展開するもの、放送で提供するものとさまざまだ。森田さんが朝出社してメールなどを処理したのち、最初にする仕事が携帯向けコンテンツの更新作業だと言う。また、メールマガジンの発行にも携わる森田さんは、気象予報士としてのアンテナをフルに働かせて、その日その日の気象データを、身近な、やさしい言葉に翻訳し、読者に届けている。
一方、WRNとは、e-天気.netがプロデュースする気象予報士のコミュニティ。資格を取っても、なかなかそれを活かすチャンスがないという以前の森田さんのような人を対象にしている。ユーザーの質問に気象予報士が答えるお天気相談所「プロに訊け!」や、女性予報士が集い、女性ならではの視点から、女性にしか伝えられない気象情報を伝える「お天気プリンセス」など、気象予報士に活躍の場を提供しているのだ。
お天気プリンセス
http://www.e-tenki.net/html/princess/
すでに24人の女性気象予報士が登録している。
メンバーが交代で執筆する「おてぷり通信」は人気コンテンツ。
森田さんは、その「お天気プリンセス」の立ち上げを企画した。
「女性の気象予報士って、ものすごく少ないんですよ。その上、気象の仕事に携わっている人なんてほんの一握り。多くの才能が埋もれてしまっているんです。せっかくの女性ならではの視点が発揮されないなんて、もったいないじゃないですか」
好奇心が
お天気への道を開く
趣味はサーフィン、スノーボード、それに料理と森田さん。基本的にアウトドア派。「サーフィンもスノーボードも、お天気に左右されるスポーツですよね。今日の波を伝えるコンテンツなども作ってみたいです」
気象予報士と言えばお天気キャスターと思われがちだが、森田さんにその希望はないのだろうか。
「裏方が好きなんですよ(笑)。それに、男性のお天気キャスターは気象予報士であることが必須ですけど、女性はまだまだタレント性優先ですよね。私の目標はそこにはありません。女性でお天気キャスターを目指すなら、気象予報士の資格を取るより、タレント事務所に売り込んだ方が早いです(笑)」
森田さんの目標は、あくまでも気象データを分かりやすく翻訳し、日常と絡めて伝えることにあるようだ。
お天気にかかわる仕事をするために必要なことは?という問いに、森田さんはこう答えてくれた。
「ずばり、好奇心ですね。ちょっとしたことでも『どうして?』と思える好奇心と、それを解明しようとする追求心が必要です。お天気は、私たちの日常に深くかかわっています。例えばアイスクリーム。気温が28度を超えると、アイスクリームよりかき氷の需要が高まってきます。私たちはそれを感覚的に知っていますよね。その感覚を『どうして?』に変換してみると、日常の不思議がたくさん見えてきます」
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