しゃべりバックスcafe

しゃべりバックスcafe 集計結果発表

前回おこなったアンケート「次の学習指導要領案についてどう思いますか?」の集計結果を発表いたします。
2つの質問から次の学習指導要領案について伺いましたが、多くの回答をいただきました。ご協力いただいた先生、ありがとうございました!


○テーマ
「授業時間数が増えるそうですが、賛成ですか? 反対ですか?」

 授業時間数が増えるそうですが、賛成ですか? 反対ですか?
過半数の先生方が「反対」との回答でしたが、その理由には現場の実感がこもったご意見が寄せられました。以下にご紹介します。


●上記の回答を選んだ理由を教えてください。
【「反対」と回答された方】

単純に授業時間を増やしても子どもや教員の負担が増えるだけなので、各教科の内容を検討することや少人数学級、教員の増員など他の部分も見直すべきといったご意見が目立ちました。

  • 1週間のうちに、今以上に学習時間を確保する場所がない。
    (小学校勤務/50代/男性/神奈川県)
  • これ以上教職員にゆとりが無くなると正常な教育活動ができない。増やすなら教員の増員も同時に考えるべき。
    (中学校勤務/40代/男性/岡山県)
  • 一日の授業時数は、もう子ども達に限界!これ以上増やしても、子どもも教師も疲れるだけで、無意味。それよりも、全学年少人数学級に一日も早く移行して欲しい。その方が、子ども達とゆっくりじっくり向かい合う事ができ、学力保証も、生活指導もできる。
    (小学校勤務/50代/男性/大阪府)
  • 単に授業時間数を増やしても何の解決にもならないと思います。授業時間なんかずっと少なくて日本よりちゃんと学力つけている国があることを忘れてはいけないと思います。それに以前と違って土曜日が休みであるのに単純に授業時間を増やしてもますます過密になるだけで本当の学力の向上にはならないと思います。
    (中学校勤務/50代/男性/京都府)


【「賛成」と回答された方】

こちらは、元々の授業数が足りていないと感じている先生方の回答が多かったようです。

  • 考える力をつけるには、現行の時間数では難しい。
  • 授業内容を理解させるためには、当然授業時間を増やすべき。このくらいでは、まだまだ。土曜日の授業を復活すべき。
    (中学校勤務/50代/男性/埼玉県)


【「どちらでもない」と回答された方】

「どちらでもない」と回答された方は、時数を増やすだけではどうにもならない、という反対派の先生に見られたのと同じ懸念をみなさんあげていらっしゃいました。

  • 無闇に増やせば良いというものでもない。
    (教育系出版社勤務/40代/男性/神奈川県)
  • 今回答申された授業時間数は,土曜日が授業日とされていた時期にとても近い。しかし,週5日制は堅持するということなので,1日あたりの授業時間数が増えるということ。単純計算で,1年生では毎日5時間ということになる。しかも,4月当初は学校になれる意味も含めて午前中で帰ることが多いということは,5月以降に授業時間数が持ち越されるということ。1年生で6校時やらなければならない日もあるのでは?それなら,あれもこれもと「てんこもり」にするのではなく,もう少し精選してほしい。
    (小学校勤務/40代/男性/神奈川県)


「総合的な学習の時間が減るそうですが、賛成ですか?反対ですか?」

 総合的な学習の時間が減るそうですが、賛成ですか? 反対ですか?
半分以上の先生方が「賛成」との回答でしたが、これまでの総合がうまくいったかどうかがその意見の分かれ目となったのではないでしょうか。


●上記の回答を選んだ理由を教えてください。
【「賛成」と回答された方】

総合の実践については学校や教師によってばらつきがあることや、まず基礎となる学力を身につけるのが第一といった理由を挙げている方が多く、総合の難しさを感じました。

  • 基礎基本の力が付いてこその「総合」だと思います。その方法論について押しつけや画一化が蔓延していると思います。「総合的な学習の時間」をもっと教師の自由裁量にまかせるなどすれば、このままでもいいのですが……
    (小学校勤務/50代/男性/大阪府)
  • 総合的な学習の時間の内容を考えるのは、相当な労力が必要とされるが、その効果が思ったより上がらないように感じるから。
    (中学校勤務/50代/男性/熊本県)
  • 一部の先進的な学校や,小規模校は成功しているのでしょうが・・・一般の学校は方向性もなく大変であるから
    (中学校勤務/40代/男性/鹿児島県)


【「反対」と回答された方】

子どもたちの考える力を育むために必要というのが「反対」の主な理由ですが、教師によって指導のばらつきがあり、消化不良に終わることも多い現状について触れる意見はここでも見られました。

  • 地域や学校の実態に応じた学習の継続と、自分で考える活動が大切だと思うから。
    (小学校勤務/50代/男性/埼玉県)
  • 教科の枠だけにとらわれない学習が必要。学習の評価が、知識理解のとらわれがちになる傾向がある(学力を点数だけで表そうとする)が、点数に表れないものの指導も非常に重要になってくると思われるから。
    (小学校勤務/50代/男性/神奈川県)
  • 生きる力の育成をわれわれ教師がしっかり考えて取り組むべきだったのに,いい加減に考えて無駄な時間にしてしまった人が多いのだろう。でも,子どもたちには,本当に必要な時間だと思う。
    (小学校勤務/40代/男性/群馬県)
  • 「総合」の可能性は、とても大きかった。教師自身の裁量により、子どもたちの豊かな学びを作り出す余地が残されていたのに…。けれど、そうしたチャンスを生かせなかった「マニュアル症候群」の教師たちが多いのも、また事実。やる気のある教師が、やる気のない教師に足を引っぱられた…という感じか。
    (小学校勤務/40代/男性/鹿児島県)


【「どちらでもない」と回答された方】

「どちらでもない」と回答された方は、総合的な学習の時間に一定の意義を認めつつも、その現状から、このままでは難しいというご意見が多いようです。

  • ねらいが浸透していない。
    (中学校勤務/50代/男性/千葉県)
  • 無意識に家庭・地域・そして学校が子どもの成長に手助けしていた頃と違い,躾から遊びの体験に至るまで学校でやらないと経験できない児童・生徒が多いとまでは言えないのでしょうが,着実に増えています。今どこでやるのか,総合なのかなあ?と言う気持ちです。ほかにどこで経験できたり,知ることができるのでしょうか?総合でやるのは,おかしいとは思うのですが。
    (中学校勤務/40代/男性/神奈川県)
  • 賛成の理由:小学校中学年では,総合的な学習はまだ難しい。それよりも教科の時数を増やして,教科と連動して,どちらかというと教科色を出した総合的な学習っぽいものにした方がよい。
    反対の理由:小学校高学年では,これだけ情報教育の必要性が言われているのに,各学校任せになっている。PC整備が整っていない学校では非常に遅れている。しかし,「情報」は「紙」や「著作権」も含まれている。だから,PC整備状況と関係なく進められるはず。低学年でも「道徳」とタイアップすれば可能だ。必要性の割には,減らされるというのはおかしいと思う。
    (小学校勤務/40代/男性/茨城県)

**店主より
Cafeいただいたご意見から、授業時間数の増減だけでなく、授業内容や教員の体制といった全体的な枠組みで考えないと解決できない問題が多いことをあらためて感じました。また個人的には、総合的な学習について時間数を減らすことで、教師や学校による内容の格差がますます大きくなったり、中途半端に終わったりしてしまうのではないか…と気になりました。学習指導要領は今年度内の改訂を予定して進められていますが、 子どもたちの生きる力を育むためにどういった手だてが示されるのか、見守っていきたいと思います。


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