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前回のアンケート「学校バウチャー制度の実施について、どう思いますか?」の集計結果を発表いたします。
回答数はいつもより少なめながらも、熱いご意見をたくさんいただきました。
賛成派、反対派、どちらのご意見も考えさせられる内容です。
反対派が過半数を上回りましたが、どちらでもないというご意見もいくつかいただき、先生方が悩まれている様子がうかがえました。
- 教育の質の向上につながる可能性がある。
(小学校勤務/30代/男性/北海道他) - 学校間が競争することで教育やサービスがよくなればよい。
(小学校勤務/40代/男性/三重県他) - 保護者の立場としてありがたい。
(小学校勤務/40代/男性/香川県) - 教育バウチャーの利点はなにか。バウチャー方式であればどの機関で教育を受けるかという選択の幅が広がるし、もしサービスが悪ければ、サービス提供者の切り替えも容易となる。つまり、利用者の教育の選択権が確保でき、競争によってサービスも良くなると考えられる。これに政府や自治体が認定した機関でしか利用できず、必要性を認められた個人だけに支給されるという制限を加えることもでき、その意味で、我が国で導入された「地域振興券」とは大きく異なるものである。
しかし、自由な選択が誰にでも保障されるかというとそうとも言えない。それにサービスの提供者がサービスの質を保つために利用者を選ぶということもあるだろうし、地域によっては選択権の不平等を生じることも考えられる。また、教育上の問題が生じた場合に、選択の自由が逆に選択した利用者の責任として処理されてしまうことも考えられる。
(小学校勤務/40代/男性/岐阜県)
「教育・サービスの向上が期待できる」「選択権が持てる」というご意見が賛成する理由の大半でした。 ただし、これら利点を理由とする一方で、上記、岐阜県の小学校の先生のように問題点も同時に指摘されているご意見が目立ちました。
- 教育に競争原理を持ち込んでも、現場は良くなりません。例え高等教育であっても、過密と過疎が2極分化し、格差が拡大されるだけです。
(小学校勤務/40代/男性/神奈川県他) - 公立学校の淘汰が進むなどということは,到底考えられません.そこにはいわゆる「できる子の行く学校」と「できない子の行く学校」ができるだけです.分裂社会日本を象徴する制度です.「教育の機会均等」という言葉は死語になりそうです.
(中学校勤務/40代/男性/兵庫県他類似意見多数) - 「学校現場に競争を」というのは聞こえはよいが、児童や生徒は教師の「競争の道具」になるだけの話だ。テストの結果の良いクラスの教師が良い教師になるなら、テストに出ることしか教えなければよいし、採点時に教師が×を○に直して採点することがはやるだけだ。
(高等学校勤務/50代/男性/京都府) - 通学したい学校がなくなるかもしれないということもあり得るから。
(中学校勤務/50代/男性/福島県) - 都会の学校の発想で,田舎のことは全然考えていないから。選択したくても通学方法もない学校区に住んでいる子どもたちはどうするんでしょう?
(小中併置校勤務/50代/女性/北海道他)
反対派の方のご意見は、「競争原理を持ち込んでも教育は向上しない」「二極分化を促進する」「選択できない人はどうするのか」というご意見に大別されました。特に、都市部と過疎地域の選択権の格差は、賛成派の先生も多く指摘されている問題点でした。
- 賛成にしましたが、どちらでもないというのが正直なところです。言われているように、選択できる自由があり学校教育が競争によって向上されることはいいと思いますが、入りたい学校に入れない生徒はどうなるのでしょうか。どのような生徒にも良質の教育を受ける権利があるのではないでしょうか。
(中学校勤務/30代/女性/栃木県) - 賛成か反対か決めかねます。地域間の格差などの問題をクリアできれば賛成です。
(中学校勤務/30代/男性/高知県)
「どちらでもない」というのは選択肢には入れていなかったのですが、これを選ばれた方はみなさん、賛成派の先生が懸念されていた理由と同じ理由をあげていらっしゃいました。
**店主より
上記中学校の先生からいただいたご意見のように「すべての生徒は良質な教育を受ける権利を持っている」ことを尊重すると、ビジネスの世界の競争原理は学校現場ではあてはめられないのではないかと考えさせられました。学校が淘汰されれば、みながよいとされる学校に入れるわけではなくなるだけでなく、いわゆる勝ち組・負け組といわれる格差をよりくっきりとつくってしまうのではないでしょうか。
また、多くの先生が指摘される「地域間格差」の問題も大きいと感じました。
みなさんはどう思われましたか?