小学校の実践事例
いつもそこにある情報教育
〜学校の日常に根を下ろした取り組みのしなやかさ〜 千葉県・松戸市立中部小学校
学び合い 鍛え合い
このコンピュータ室でもうひとつ驚かされたのは、4つも設置された大型スクリーンだ。この内2つはプロジェクター+スクリーン、残り2つは大画面のプラズマディスプレイとなっている。一体どのように活用されるのだろう。
資料のプリントアウトが始まるなど、まとめ作業がある程度進んだ子どもたちが多いのを見て取ると、常世田先生は、グループ内での中間発表に移るよう指示を出した。手際よくグループの子どものパソコン画面が、手近な大型スクリーンに切り替えられ、映し出されていく。なるほど、これならグループ内での発表が並行して進められる。
すぐさま、グループ内での発表が始まった。発表順で尻込みする子どももなく、その前向きな姿勢には感心させられるばかりだ。
発表が進んでいく中、2人の先生は各グループを回りながら、声の出し方、発表者の立ち位置などにアドバイスを与えていく。そして、聞き手に回った子どもたちは、発表者の子どもにあてたアドバイスカードを書いては手渡していく。グループ内での発表だけに、取り組んでいるテーマも近く、子ども同士のアドバイスは、発表の仕方だけでなく、その内容にまで及ぶものになっているようだ。
しっかりとした意図を持って整備されたコンピュータ室という学習環境、そして同じく効果的に計画された授業の流れ、それに応える子どもたちの積極的な学び。学校ぐるみで作り上げてきた歯車がしっかりとかみ合って回る様子を目の当たりにする思いがした。
思いを束ねて
グループ内での発表が一巡したところで、先生は子どもたちを教壇前に集合させる。
「今日、発表をしてみてどうでしたか? 思った通りにできたという人はどれくらいいるかな?」
「逆に、思った通りにはできなかったという人はどうでしょう」
常世田先生は、授業の締めくくりとして、子どもたちに自己評価を促した。発表の際に行われた相互評価とあわせて、より自分の学びをしっかりと定着させるための指導だ。思い思いに自分の取り組みを振り返る子どもたち。ここにも、先生の投げかけを確かに受け止める子どもたちの姿があった。
ここまではネット上での調べ学習と、パソコン上での資料づくりを中心に進められてきたこの取り組みだが、今後はインタビューなど、より広く深い調べを経て、資料を作り上げていく予定だ。もちろんそれも「決まっているからやる」のではなく、今回の中間発表と、友だちとの相互評価を通じて「もっとこんなことを調べたい」と感じた子どもたちの思いを生かし、束ねた活動になっていくに違いない。
そうした実り豊かな学習の成果をたずさえて、子どもたちが長野の地を訪れるのはこの夏のこと。現地では、さらにみずみずしい気づきが、子どもたちの心を満たしていくことだろう。
東京都葛飾区、埼玉県三郷市と境を接する千葉県松戸市。その南西部に位置する中部小学校は、市街地の中心部にほど近く、江戸川の流れにもまた近い、社会と自然いずれの学びにも適した立地だ。中田茂生(なかた・しげお)校長。生徒数471名。