小学校の実践事例

今までの自分を見つめ、これからの生き方を考える!
─未来予想図をえがこう─ 
〜働く人の声に耳を傾け、自分の将来を考える〜
岡山県・岡山市立津島小学校

津島小学校

将来の夢などについて、子どもたちに作文を書かせる指導は以前から行われてきた。しかし、働く人たちとの対話を通じて自分と社会との関わりを考え、自分の将来像を描くという、大きな深まりをもった実践が行われていると耳にした。驚きと期待を胸に取材に伺った、そのレポートをお届けしよう。

1年間の集大成

今回の取材でお邪魔したのは、岡山市立津島小学校6年生の総合的な学習の時間。そのテーマは「今までの自分を見つめ、これからの生き方を考える!〜未来予想図をえがこう〜」というものだ。

単に将来の夢を作文に書かせるという指導は、以前から広く行われてきたものだ。しかし、津島小の実践は「今までの自分を見つめ」、同時に「生き方を考える」とうたわれている点で、単なる作文指導に終わらない取り組みが念頭に置かれていることが想像できる。

このように非常に高い目標を掲げたテーマだが、実はこれが、子どもたち自身の発案なのだという。

未来予想図をえがこう

この学年では2学期に、自分たちの住む街を少しでもよい街にするためには自分たちに何ができるかを考え、行動しようという目的のもとに「街プロジェクト」に取り組んだ。

「1000人に聞きました!津島ってどんな街?」というアンケート調査を実施し、そのデータをもとに、活動テーマ、内容及び方法等を子どもたち自らが考え、実行したのだ。自己満足の活動に陥らないように、地域の人たちと話し合う場も大事にしたという。

その学習の中では、地域のボランティアなど、学校をサポートしてくれる大人たちとの接触があり、そうした人たちの活動を直に目にした影響が子どもたちの大きな財産になったことは想像に難くない。

そんな経験を積んできた子どもたちが、最終学年の取り組みとして、自ら自分たちの将来について考えたい、と主張したことに、先生方は驚き、そして大きな喜びを感じたという。

三宅貴久子先生

そこで、これまでの学習をサポートしてくれた人たちに加えて、子どもたちの要望に沿った、さまざまな職業の人たちの協力を取り付け、その人たちとメールなどを使ってコミュニケーションを重ね、自分の未来について考える、という取り組みが開始された。

今日の授業は、そうした1年間の取り組みの集大成とも言える、子どもたちの「未来予想図」発表の場ということになる。

どうすればいい?今日は何する?

授業の冒頭、6年4組の担任・三宅貴久子先生は、今日の発表の中で、具体的にどんな点を頑張りたいかと子どもたちに問いかけた。
「自分の伝えたいことを、ちゃんと発表する」
そう答える子どもたち。問いかけに手を挙げて答えたのは一部の子どもだが、それぞれの子どもたちが、心中に期するものを確認したような、引き締まった表情になったことが印象的だった。それもそのはず、今日の授業では、学級全員、すべての子どもが自分の未来予想図を発表することになっているのだ。

教室には、ノートパソコンに接続されたプロジェクターとスピーカーがスタンバイしており、子どもたちの発表が始まった。

どれもしっかりとしたプレゼン!

それらの発表は、目を見張るものだった。『はっぴょう名人』を駆使して作られたプレゼンシートは、メリハリのついた内容整理が行われた上、しっかりと内容に即した視覚・音声効果がちりばめられたもの。

こういったプレゼンテーションソフトを使っての発表は今回が初めて、という三宅先生のお話が信じられないほどのできばえだ。