小学校の実践事例

空に向かって生長するケナフのように 学習する力を身につける子どもたち
〜調べるテーマを自分で考えて意欲的に取り組んだ総合的な学習の時間〜
宮城県仙台市立幸町南小学校

仙台市立幸町南小学校

仙台の中心地に近いところに位置する、仙台市立幸町南小学校。
子どもたちが植物にふれる機会を増やそうと、総合的な学習の時間のテーマにケナフが選ばれた。
ケナフを通じて子どもたちはなにを学ぶのか。目指せ、ケナフ博士!

自らが課題設定する場面をつくり 子どもたちの学習意欲をアップ

仙台市立幸町南小学校では、4年生の総合的な学習の時間のなかで“植物っておもしろい!”をテーマに、ケナフの栽培に取り組んでいる。

大きく育ったケナフ

ケナフとは、西アフリカ原産の一年草。空気中の二酸化炭素を多量に吸収し、紙の原料となる非木材パルプ材として利用できる。 地球温暖化防止に役立つ植物とされ、教育の立場からも、環境問題に対する関心を高めるための素材として注目されている。

また、成長が早いので、種まきから収穫、茎を使った紙づくり、花や葉を使った調理など、実際の体験をとおして、子どもたちが植物の不思議やおもしろさを学べるのが特長だ。

4年生の子どもたちは、これまでケナフについて調べたことをまとめたポスターづくりを進めている。

使用するソフトは『ジャストスマイル』『はっぴょう名人』。翌週には、保護者や3年生を招待して発表会が開かれる。 ポスターを掲示してプレゼンテーションを行う、ポスターセッションが実施される予定だ。

2時間目にコンピュータ室に入ってきたのは、4年2組の子どもたち。 情報担当の佐藤智則先生が声をかける。
「まず、今までどんなことをしてきたか思い出してみましょう」
ホワイトボードには先生が『はっぴょう名人』で作成した大判のプリントが掲示されている。 内容はこれまでの経過をまとめたもので、5月に小さな種をまいたこと。水道水と塩水の2種類の水で育てたところ、塩水では枯れたこと。 市民センターを通じて講師を招き、植物について話を聞いたこと。インターネットや本で調べ学習をしたこと……。

子どもたちは課題設定のための教育手法である「ウエビング」にも挑戦した。

デジカメでイラストを取り込もう

ケナフとはどういう植物なのか、ある程度調べた段階で、さらに調べたいことやもっと調べられそうなことをそれぞれカードに書く。

ケナフを中心に、“特徴・利用・植物・環境”の内容別にカードをくもの巣状に掲示していくなかで、自分が興味を持ったことを整理し、 これから学習する課題を絞り込んでいくのがウエビングだ。

 子どもたちが自由に課題づくりに取り組むことができるので、 課題設定の力を身につけるとともに、学習意欲の持続にもつながる。 ウエビングによって課題を設定した子どもたちは、課題が似ている仲間と2〜4人のグループを組み、調べ学習をすすめてきた。
「今日は、発表会の準備の続きをやります。それでは、スタート!」。

オリジナリティあふれる作品を 大判にプリントして

前回までに作ったものを、担任の鈴木三千子先生がプリントアウトして、“箇条書きの先頭に、しるしをつけると見やすいね”“タイトルは大きくした方がわかりやすいよ” といった注意書きを加えておいた。子どもたちはそれを参考にしながら、修正をすすめていく。

“ケナフからできているもの”について調べた女の子たちは、Tシャツ、ロープ、カゴ、イスなど、ケナフからさまざまな商品が作られていることを知った。 “商品の写真を入れてみたら”という鈴木先生のアドバイスを読んで、インターネットからTシャツの写真を取り込んでいる子は、 「ドロボウになるから…」 と、ホームページのアドレスを添えた。

幸町南小学校では、著作権に関して、“ドロボウになってないかな”という言葉を繰り返して使うことで、意識づけをしている。

ポスター完成!

パソコンの横で一生懸命にイラストを描いている女の子がいる。課題は“ケナフで作るお茶やうどんについて”。 インターネットや本でうどんの作り方を調べたが、イメージどおりの写真が見つからなかったらしい。
「イラストを描くのが好きだし、見る人が楽しいかなと思って」
と、色を塗っていく。完成したら、スキャナで取り込んで作品に貼りつけるそうだ。

それぞれに工夫を凝らしながら、作品を仕上げていく子どもたち。 できあがったグループは、エプソンの大判プリンタ、マックスアート『PX-7000』で印刷に取りかかる。A1サイズの大きな作品が印刷されると、「かっこイイ!」と声があがった。取り込んだ写真も鮮明に印刷できて、子どもたちは満足そうな表情を浮かべる。

発表会の当日はたくさんの作品が、会場を彩る予定だ。