小学校の実践事例
バリエーション豊富なひな形を使ってクラスの思い出に彩りを添える
〜『はっぴょう名人』で修学旅行のアルバムを作る特別活動〜
静岡県浜松市立泉小学校
遊びの感覚で学ぶ創作の楽しさ
写真には、マウスを使って落書きをすることもできる。女の子グループの“新幹線チーム”は、行き帰りの車内の様子を撮影した写真に文字を描いている。「ピース★」「イエーイ」「いまからかえるヨ→」などの言葉をひとこと入れることで、なにげないスナップ写真がぐっと楽しくなり、メッセージ性も生まれる。女の子特有の、丸っこくてかわいらしい字を、マウスを使って上手に描いていく。
また、ひな形にはちょっとしたイラストもある。“ディズニーランドチーム”は、クリスマスツリーの写真のまわりにヒイラギの葉のイラストを散りばめ、クリスマスの雰囲気を盛り上げた。
パソコンの画面上で、アルバムを見るときの見せ方に凝っているグループもいる。アルバムは3〜5ページで構成されているが、ページの切り換えの仕方も選べる。ページをめくるようにスクロールしたり、左右にワイプしたりの設定も簡単だ。 さらに、ページが変わるごとに音が出るようにすることもできる。雨の音、小鳥の音、始まりの音といったひな形のほか、「フジテレビのラフ君!」という声を録音している姿も楽しそう。
最後の仕上げはプリントアウト。プリンタはエプソンのカラーレーザープリンタ『LP−3000C』を使用。泉小学校では、環境のことを考えて再生紙を使っているが、真っ白でない紙にでもきれいにプリントできるのが、このプリンタの特長だ。紙にプリントして手に取ると、パソコンの画面だけでは得られない満足感がある。
パソコンを使って自分を発見 表現する意欲を高める
今回の特別活動は、約2時間。短い時間の中で、子どもたちは作品をほぼ完成させてしまった。
「6年3組は、1学期から図工でデジカメの画像を加工する作業をやってきました。それが活かされていると思います」というのは、クラスの担任であり、6年生の図工の授業を担当している袴田先生。最初は、図工の授業にパソコンを使うことに不安を感じたという。
「自分たちの手で作り出すのが基本。もちろん、今でもその考えは変わりません。でも、絵を描くことが苦手だった子どもが、イキイキとパソコンに向かって創作している姿を見て、驚いたんです」パソコンの導入が、子どもの意欲を引き出してくれたのだ。
「まだまだ発達段階にある年齢ですから、まず自分の手を使って絵を描いたり、作品を作ったりしたうえで、パソコンを使って表現してみるという方法をとっています。そうすることで、自分の手を使って作ることの素晴らしさと、パソコンを使うことの利点の両方を認識することができると思います」と語ってくれた。
情報担当の加藤竜男先生も、パソコンの活用が子どもたちに与える影響を評価する。「パソコンを使うと、自己表現する機会が増えます。『はっぴょう名人』やプロジェクターの『ELP-715』は、そうした機会を簡単に与えてくれます。自分が作ったものを発表していこうという気持ちが出てくるのは、とてもいいことですよね」。
また、バーチャルな体験が容易にできることにも、良さを感じている。
「遠いところで起きた事件をテレビで見るような感覚で、インターネットなどを使ってバーチャルな体験をするのは、今後当たり前になってくるでしょう。しかし、もちろんそれだけではだめ。実際に体験をして感じることが重要です。今回のアルバム作りも、修学旅行で素晴らしい体験をしたからこそ、いい作品ができたのだと思います。現代において、パソコンを使わない生活は考えられません。子どもたちには技能を修得するのと同時に、気持ちに密着したところでパソコンを使うようになってもらいたいと考えています」
と、子どもたちの成長をあたたかく見守っている。
昔、泉が豊富に湧いていたことが地名の由来。全児童数は723名。特に問題解決学習に力を入れており、各教科において、子どもたちが自ら課題を見つけて解決する方法を学び、それが子どもたちの生きる力になってくれればと願っている。昨年10月には、市の「授業改善」指定校として研究発表会も開催した。