小学校の実践事例

パソコンで楽しむ生活科 見つけてきた「秋」を変身させよう
〜スキャナや大判プリンタで広がるわくわくドキドキの世界〜
長野県長野市立松ヶ丘小学校

みんなの秋を変身させよう!

プリンタを覗きこむ子どもたち

『スマイルペイント』でお絵かきに熱中している子どもたちを見てみると、画像を切り取って遊んでいる子や、スプレーを使って画像の中に色づけしている子、スタンプやグラデーションを使いすぎて、秋の画像が隠れてしまった子もいる。
「みんなの秋を変身させてください」と宮尾先生が言ったけれど、変身させすぎてしまった子もいるようだ・・・。

宮尾先生は言う。「1年生のうちは、いろんな機能を使いながらいっぱい遊んでくれればいいと思っています。『一太郎スマイル』のスプレーやスタンプを使うことで、マウスの使い方もとても上手になりました。子どもが使いたくなるメニューが豊富で楽しいようです」
変身させすぎてしまった子も、また新しく[スキャン箱]から画像を取り出している。

先ほどの、ひめりんごをスキャンした子は、他の子がとったどんぐりの画像とひめりんごの画像を合わせていた。スキャナの上に豪快にどんぐりをばらまいた男の子はといえば、どんぐりや松ぼっくりに黒い丸をつけて、ミッキーマウスに変身完了。さらに、みかんの画像に手足を付けて「みかん星人」にしている子もいる。
ある女の子は、じゃがいもの画像を使い、目と口の部分を小さく切り取って顔を作る。切り取った部分に[ぬりつぶし]を使って、細かく色を入れていた。担任の小林先生は「子どもは感性がいい。大人が思っている以上のものができます」

宮尾先生が注目したのは、葉っぱに目と口を付けていた女の子。茶色い葉っぱにカラフルな色のスプレーで目や口を描いていった。
とてもかわいい葉っぱの子どもたち。この画像をエプソンの大判インクジェットプリンタ・マックスアート『PM-7000C』でプリントアウトすることに。「どんなふうにでてくるんだろう」自然と出力される場所に集合した子どもたちは、印刷された紙が出てくる場所を必死でのぞきこむ。「大判でプリントできると、子どもへ与える印象が違います。特に1年生にとっては、自分の体よりも大きな紙に作品がプリントアウトされるのですから、とても喜びます。インパクトがあるし、創作意欲もわくと思います」

他にも、高学年のプレゼンテーションや、掲示物、行事のポスターづくりなど、学校現場で大判プリンタの活用場面はたくさんあると宮尾先生は考えている。
印刷開始から5分ほどで作品が出てきた。「大きい〜」大きなA1サイズの用紙にプリントアウトされた絵を見て、作者の女の子は、満面の笑顔で「うれしい」と感想を聞かせてくれた。

子どもたちも大好き パソコンの授業は全学年週1時間

「何かの行事でパソコンの授業ができないと、子どもたちからは“えー”と声が出ます。“じゃぁ、いつできるの”と質問する子もいて、とても楽しみにしているんですよ」と教えてくれたのは1年2組の宮澤先生。長野市のパソコン教育における中心校のひとつだけに「松ヶ丘小」といえば「パソコンを使った授業」というイメージが地域にも浸透しているそうだ。1年生の新入学とともに、パソコンを購入した家庭も多いとか。
「4〜5月ごろは、保護者からどんなパソコンを購入すればいいかというお問い合わせもいただきました。どうせ購入するなら学校と同じものがいいとお考えだったようです」

パソコン授業中

昨年までTT(ティームティーチング)としてパソコンの授業を行っていた宮尾先生は、今年担任を持ったため、今は1年生のみパソコンを使った授業を担当している。担任の先生とのTTである。
「1クラス年間35時間は、パソコンを使った授業を行っています。全学年でプレゼンテーションに『はっぴょう名人』も活用しています。2年生になるとカナでのキーボード入力も行いますし、4年生はホームページを開いて調べ学習をしています」

松ヶ丘小学校の児童は、パソコンを使うスキルは十分にある。1年生は、キーボード操作の代わりに『ATOKスマイル』にある[クリックパレット]を使い、文字を画面につけている。マウスのクリックやドラッグもこれらの機能を使うことで自然に身についた。

今回の生活科の授業では、学校の周りにある「秋」を見つけるのが目的だった。見つけてきた秋をスキャンし、絵を描く段階になって、子どもたちから「もっと違うものをスキャンしたい」という声が出たそうだ。秋の素材をメインに、顔を表現するにあたって「ボタン」を目にしたり「毛糸」で髪の毛を作りたいという希望が出てきた。葉っぱやどんぐりだけでなく、秋にとれる野菜も子どもたちが持ってきた。「パソコンを使うことで、子どもたちから意見が出てきて、授業が展開してきました」と小林先生。

3学期に向けて、1年生はオリジナルカレンダーの作成も予定している。パソコン・スキャナ・大判プリンタの連携で、子どもたちの創作意欲がさらに広がっていくようだ。

◆長野県長野市立松ヶ丘小学校

長野市が一望できる高台にある松ヶ丘小学校は、全校児童419名。かつてはCAIの研究校でもあり、パソコンを活用した教育を進めてきた。現在は市内のマルチメディア教育における中心校のひとつであり、全教科でパソコン・インターネットを活用した授業を展開している。

取材・文/松岡澄江 撮影/渡部秀一
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。